乳母と先生

ルソー著「エミール」岩波文庫を読んでいる。まだ最初の80ページほどなのだけど、ルソーの言いたいことがちょっとだけわかるなと思った。健康な女が子どもを産んだとき、その女は母となるが、母が乳を与えないといけない。これはまったくもって正しいと思う。女だけが母乳が出るのだし、女は子どもを産まないと母乳が出ないのだから。自然主義とでもいうのだろうか。「自然に考えて」というのは、ちょっと日本語では「普通に考えて」と言い換えられそうなので、ここでは「野生に考えて」とでも言った方が伝わるかもしれない。野生の雄と雌ならば、乳母は雇わない。雄が狩りをして餌をとってくる。雌は子育てをする。母乳を与える。子どもにとって、母はいずれ有害になる。乳飲み子から自分で餌を取れるようになったらすぐに巣立つ。巣立ったあと、少しだけ父親が狩りのやり方を面倒見てくれる。こういう野生の考え方でいくと、乳母は不要だ。乳母に自分の子を預けようというのはナンセンスなのだ。科学的な乳母を、日本では保育士という。保育士は、粉ミルクを与えるし、離乳食を与える。清潔にしたり、お昼寝や遊びのめんどうを見る。こういう行為そのものが、子どもにとって大切なのに、母はこれを放棄しようとするのだ。きっと日本民族は滅びるに違いない。愛を知らない子どもたちよ。今の60代に育てられた、30代くらいの世代が、平成時代に保育園に預けられた世代だ。この子達が愛を知らないのは当然なのだ。母親は母親の活動を半分していない。父親も狩りの仕方を教えていない。近代日本の先生は学校の教師だ。つまり父親は、自分の息子に仕事を教えていない。どうやって狩りをするのかを面倒見てあげない。いつ会話するのだろうか。愛を知らず、生き抜く技術を知らない、そういう子どもたちが増えているのだろう。30代より下の、20代、10代の子達が迷うのも当然だ。
ぜんぜん話しは変わるけど、私は在宅仕事はとても賛成だ。在宅でオンラインで仕事をするのは、古い言葉で言えば、家内制手工業ということになるだろう。そういえば、私の弟はプログラマーなのだけど、独立して個人の会社を作っていて、奥さんを社員にしていると言っていた。奥さんは家のことに集中できるし、弟も仕事に集中できる。だけどいざというときは家にいるから力を合わせることができる。この状態を作ることが望ましいと思う。弟はとても賢い。こういう働き方ができるのは、いくつかのパターンになるが、どれも個人で起業する・あるいは店舗を構えるか、それか在宅仕事ができる企業に所属することになる。大多数の人は、在宅仕事とは企業に所属することと考えるだろう。だけど、今後個人で企業して在宅仕事を選択する人は増えるだろう。なぜならば、企業にはブルシットジョブが多すぎるからだ。余計な会議、書類作成、人間関係のしがらみ、そういったものは、現代の教育課程においては非常に良くないものと映るだろう。タイパ・コスパと言って効率化を求める若者達が、よくわかんない会議に1時間2時間同席させられて、結局発言しないままというのは、ナンセンスだろう。企業が変わらなければいけない。
今日は放送大学の学生証を受け取る日だ。放送大学生になれて嬉しい。まずは学校地域連携コーディネーターになるべく、教育や社会系の授業を受ける予定だ。その間にエミール上中下巻を読み進めていって、エミールの考え方と現代教育論との差を比較して、僻地教育にどのように活用できるかをまとめたいと思う。東白川村は僻地教育のモデル校らしく、新任の先生が毎年やってくる。1学年10人だと1年目の先生が受け持つにはちょうどよいようだ。ちょっと遠いと思うけど、その場合は寮へ。10人だと、テストの丸つけも30分あれば終わるし、教材作りはきちんとできるし、良いことが多いと思う。外国人の生徒もほぼいないし、日本語話せる。保護者も変な人はいない。ただ、言い回しがきつい人が多いかもしれない。田舎に暮らしている人は、なんだかんだ言っても田舎から出ていない人が多いからだ。コミュニケーションがうまい人が多いわけがない。今渡北小学校なんてすごい人数だ。あそこに1年目の先生が言ったらカオスになるだろう。保護者の人数だけでも10倍以上差がある。逆に真剣に寄り添い過ぎちゃうと、10人でも悩むかもしれない。さらっとかわして、中規模校に行って人数に慣れていき、立派に先生の仕事に取り組む力を身につけていってほしい。大学で4年間教育学を勉強して、1年目はOJTをして、それでもなかなか勤まらない先生っていうのは、大変な仕事だと思う。ルソーが言うように、先生とは父親なのだから、本来なら、道徳・公民・地理・技術・家庭科・体育は不要だろう。家庭でやるとよい。読み書きそろばん、古語、あと理科は家庭ではできないだろうから、習うといいと思った。
そう考えると、現代日本人の忙しさよ。労働時間が8時間なのがいけないな。

著者

檜の里の片隅に庵を結び、世の移ろいを眺めながら暮らす物書き。
……というのは半分冗談。
地方で暮らしながら、事業、法律、政治、経済、IT、アニメ、本など、興味のおもむくままによしなしごとを綴っています。
専門家でも評論家でもありません。
日々の暮らしの中で考えたこと、学んだこと、面白かったことを忘れぬよう記録しているだけです。
昨日の自分と今日の自分が違うように、ここに書かれた考えも変わっていくかもしれません。
それもまた人の営みとして、ご笑覧いただければ幸いです。

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